2017年03月28日
サッカーを知らない女(ヤツ)がサッカーの監督になったら その8
サッカーでは小学校の高学年をゴールデンエイジと呼ぶ。
けれどもそれは平均から上の発育発達を遂げている場合に
所属させて良いカテゴリーの呼び名だと思う。
回りくどいか。
つまり、子供の発育発達は、個々に違う。
ましてやどこから成長していくのかは、遺伝的要素も含めて、
千差万別だ。
骨格は大きく成長していても、内臓の成長が追いついていない子だっている。
神経系の反応が優位に発達している子もいれば、
理屈や言葉の理解とともに動きのイメージやボディーイメージが
膨らむ子供だっているのだ。
もちろん、そんなことはわかった上での
“ゴールデンエイジ”という呼称なのだろうけれど、
実際の指導現場で、このことを深く理解しながら
個別に対応した指導が的確になされているか、
いや、的確に行える環境にあるかどうかは、疑問だと思う。
もう一つ、試合で培われる感覚は、どのカテゴリーでも重要な要素だ。
今行われているW杯日本代表の先発メンバーを巡る談話でも、
各所属チームでの試合出場数の少ない選手への不安が取りざたされている。
強いチームに所属するメリットもあるが、
その強いチームで試合に出場する機会がほとんどない環境の
デメリットは計り知れない。
この二つは、フィジカルコンディショナーとしての視点でもあるし、
サッカー少年を息子に持つ母としての視点でもある。
長男が育つ過程で、この二つを身をもって経験してきたからだ。
長男が所属していたクラブチームに抗議しようと書いているわけではない。
サッカーチームという“子ども”を
たくさんの方の支援の中で0から生み育ててきた私なので、
チーム自体も育つ流れ=歴史の中で、いろいろな考え方や
局面に出くわすことを、少しは知っているから。
ただ、現実、長男は途中から実践の場でサッカーができる機会が
激減していった。その背景には、様々な要素があるけれど、
やはり、勝利を目指すチームであればあるほど、
個の行き詰まりや成長にかけられる時間は少なくなる。
横瀬西SFCは、だからこそ、
少人数、その年に入ってくれた人数で戦うチームで良いと考えた。
6年生が0人の年もあったし、今年も6年生は3人。
新3年生も0人のままだ。
平成28年度は4年生も5年生もたくさんの試合を経験できた。
コーチが6名もいたので、
低学年のカテゴリーも
運動が少し苦手な子たち、
学校内で教育支援を受けている子も
試合に出場できた。
そして、低学年は、
たくさん失敗した。
たくさん負けた。
悔しい思いもした。
後半になって得点できるようになったら、みんなで喜んだ。
失敗や負けに慣れて、やる気をなくすのはどうかと思うけれど、
横西の子供たちは、
失敗や負けを受け入れて、それでも
いつでも「勝てるチーム」を目指している。
失敗することを恐れさせていては、
子供たちの中から工夫は出てこない。
試合中に土いじりを始めてしまうのには驚いたけど、
今は、そんな子は当然いなくなった。
指導者の我慢が肝心だと思う。
そして、横瀬西の子供たちはどの年代でも
試合と試合の間で遊ぶことができる✨
「サッカーの試合も見ないで、やる気があるのか!」
と思う方々のご意見ももっともだと思うけれど、
私は、“ゴールデンエイジまで遊べる選手”を育てたかった!
なぜかといえば、遊べば、体を様々に使うから。
低学年からサッカーをすればするほど、
体の中で使われすぎる筋肉と、使われない筋肉が出てきて、
動作習慣に偏りができるから。
遊びはたいてい、脳が喜びながらやるものなので、
夢中になったとしても、いろんなアイディアに満ち満ちている。
結果、多くのパーツを使い、ボディーイメージを広げていく。
まあ、お察しの通りに、遊びからの切り替えができなくて、
2試合目になるとふがいない戦いぶりで、叱られることもあった。
けれど、それも、経験じゃないですか!
大きな声で怒鳴って整列させて、その場の結果を
大人の思った方向にしたとしても、
きっと、また繰り返すよね。
そのパブロフの条件反射的な大きな声がなければ。
子供たちは、少しずつではあるけれども、
変わってきた。
嬉しいことに、対戦相手のチームのことすぐ仲良くなれたし、
対戦相手の子たちのプレーを称賛したり、
目標にしたり、できるようになってきたんだ。
つまり、遊びながらも周辺視野では、ほかの選手の動きを観察し、
それをまねるーとぃう脳にとても良い学びをしていたのだと思う。
それって、成長した証拠ですよね♡
サッカー協会が掲げるゴールデンエイジに異論はない。
そんな恐れ多いこと、考えてもいない。
ただ、そこを目標に、またそこでは見えづらい現実に即した
“ゴールデンエイジ”の育て方や過ごし方があってもいいのではないかと思う。
横瀬西におけるこの4年間のゴールデンエイジは、
ごくごく底辺(悪い意味ではなく大事な大事な土台だと思う)の
最初の一歩を踏むしかないチームにおける、
キラキラした成長過程だったと自信をもって言える!!
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