2017年04月18日
仕事のこと お金のこと
もう、8~9年前のこと。
某スポーツ専門学校で非常勤講師をさせていただいていた。
その時、学生さんからこんな質問を受けた。
「収入はどのくらいですか?」
「自分で食べていける収入はあるのですか?」
スポーツ関連の仕事で食べて生きていこうと志している若者たちの
ごくごく、素朴な疑問だ。
「売り上げは月20万円前後、でも、そこから経費を引かれるからね」
「あと、月によって変動もある」
「一人ならばなんとか食べていけるけど、家族までは無理」
というのが当時の私の答えだった。
学生さんたちはあからさまにがっくりしていた。
「なんだ、旦那さんに養ってもらいながらやってる仕事なんだ」
とはっきり言う者もいた。
その姿を見て、私もがっくりした。
「な~んだ。たいしたことないな」という反応にも受け取れたし、
自分自身を恥ずかしく思う自分に気づいたから。
そして、話しながら、スポーツやスポーツ関連の仕事で
お金を稼ぐことの難しさに思いをはせたからだった。
私は3児の母だから、子供や家庭のことが優先だという
ゆるぎない軸があった。
だから、会計事務所さんから「売り上げUPを目指しましょう」と
提案されても、物理的な無理は決してしなかった。
春休み、夏休み、冬休みは、子供たちと過ごすために
完全に仕事を休んでいた。
だったら、その誇りを胸に堂々と、
自分独自の働き方について話せばよかったと、今も思う。
この3月に、新しい仕事のお話をいくつかいただいていた。
どれも、夢のある素晴らしいビジョンのお仕事で、
お話をくださった方も情熱のある素敵な方々だった。
一か所からは
「1時間4000円が規定です」と説明があった。
そしていよいよ契約の日
「実働時間は45分なので、1コマ3000円で、2コマお願いします」
と説明を受けた。
もう一か所からは、
「うちはまだまだちゃんとしたクラブではないので、
本当に申し訳ないですが、1時間1000円でお願いできますか?
1日3時間です。その代り、何の制限もしないので
好きにやってください」
私は、後者を選んだ。
だから何だということではないのだけれど。
その決断をするときに、私は、
前記の専門学校での出来事を思い出したのだった。
スポーツにかかわる仕事の質が
しっかりと評価される時代を望んでいる。