サッカーを知らない女(ヤツ)がサッカーの監督になると その9

さらら

2017年03月29日 18:23

9番君の話を書きます。

横瀬西SFCのエースナンバーは、
子供たちの間で、10番ではなくて9番なのだそうです。

創立2年目で、その9番を背負っていた選手のことを少し書かせてもらいます。

彼は、少年団とクラブチームでのサッカーを経験して
約1年のブランクを空けて5年生で横西に入部してきました。
足が速くてキック力もあり、何より、
一緒に入ってきた同学年の仲間のあこがれの的でした。

対外試合で彼のプレーを見てくれたほかのチームのコーチたちから
口をそろえて、「大切に育ててあげてくださいね」と、言われました。


一人抜きんでていたので、
チーム内のほかのメンバーの動きとかみ合わず、
思い通りにプレーできない葛藤と
長い間戦っていたと思います。

もう一つ、彼が戦っていたのは、どうにもならない現実だったと感じています。
本当は、横西の前に所属していたクラブチームで、
レベルの高いサッカーを続けたかったのだと思います。

彼は入部当初、よくそのクラブチームのユニフォームを着て練習に来ました。
それしかなかったのかもしれませんが、近くで見ていた私には、
それだけではない思いが伝わってきていました。


卒業前、私は元いたクラブチームへの入団を勧めてみましたが、
「今更、いいです」と、言われたことを覚えています。
そして、別のクラブチームに同期の横西メンバーと入団。
トップチームのメンバーとして1年生から活躍していると聞いていました。


ところが、彼が中学2年生になるころに、
そのメンバー全員がチームを離れたことを知りました。
とても驚きましたが、
よく聞くと、9番君は小学校のころに辞めたクラブチームへの
入団テストにチャレンジしたとのことでした。
それも、控え選手からやり直すことを自分で決めて!


その話を聞いた数日後、彼のお母さんに偶然会いました。
「〇〇君、自分に素直になれてよかったね!応援していますね!」
と伝えると、
「親の覚悟が足りなかったわ。頑張ってるっていうから、
親もできることをやらんとな」
そう、話してくれました。


横瀬西での時間も、彼にとっては無駄ではなかったのだと思い
嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
そして、小学校時代勧めても
「いや~、そういうの僕はいいです」と、
遠慮(?)していたトレセン選考にも合格し、
チームでもレギュラーとして活躍しているようです。


横西の最初の2年は、サッカーを続けたいのに、
また、何かのスポーツをしたいのに、
本人の気持ちとは少し違った理由で
所属チームジプシーになっていた
子供たちの受け皿的な存在でもありました。



関連記事